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教員向け研修会

放射線教育授業実践事例26:福島県飯舘村立臼石・草野・飯樋小学校

 2015年12月3日(木)、福島県飯舘村立臼石・草野・飯樋小学校では、3年生の学級活動の時間(45分)を使って福島県教育委員会が作成した学習教材(DVD)を活用した放射線教育の授業を公開した。テーマは「ほうしゃせんから自分の体を守るには?」。

 

臼石・草野・飯樋小学校

 明治時代に飯舘村に創立された3校だが、2011年の原発事故により計画的避難区域に指定されたため、隣町の川俣町に仮設校舎を建て、3校が同じ校舎で学習している。児童数は3校合わせて155名。JR福島駅から東南に車で約40分の距離にある。

 

 

基礎的知識をもとに情報を正しく整理し、自分で判断して答えられる福島人になってほしい

●臼石・草野・飯樋小学校  大内雅之 校長 

 

 

 震災当時は南会津の学校にいた大内氏は、平成27年4月に校長としてここに赴任したという。ここでの状況を尋ねると、事故から4年を経過したせいなのか、「保護者や児童たちからは空間線量についての問い合わせや不安の声は1件も上がっていませんが、情報としてなるべく細かく流すようにしています」とのこと。しかし、登下校にスクールバスで約1時間ずつをかける児童が多く、運動不足になりがちなため、なるべく体力向上のための活動をするように心がけているという。そして、放射線問題については、「放射線についての基礎的な知識を身につけ、適切な行動をとることができる。たとえ、いろいろ言う人がいても、それに対して情報を正しく整理し、自分で判断して答えられる、自信をもった福島人になっていってほしい」と熱く語り、そのための放射線教育にしていきたいとのこと。

 

 

副読本とDVDを活用して「放射線から身を守る方法」を考えさせる

●授業者  長谷川和美、鈴木真実子、蓑野和枝の3教諭

 

 

 授業は、2年生時での学習の復習から始められた。「放射線とは?」に対しては、「見えないバイキン」「自然にもともとあったバイキン」といった答えが出てきた。また、「放射性物質とは?」に対しては、多くの児童が「よくわからない」とのことだった。

 そこで、「小学生のための放射線副読本」(文部科学省)を見せながら、放射線について再学習。電球とその光を例にして放射線と放射性物質の違いなどを説明した。

 そして、原発事故で避難している人がいるが、なぜ避難しなくてはならなかったのか問うと、「放射線にあたると病気になるから」「いっぱい浴びると体に毒だと父さんが言っていた」などの答えが返ってきた。そこで、今度は福島県教育委員会の作成したDVDを視聴させ、震災と原発事故を振り返りながら、放射線から自分の体を守るためにはどうしたらよいか、というめあてを共有した。

 

 

 まず、外からの放射線を受けることを少なくするため、電球からの光を放射線に見立て、光にあたらない方法を考えさせるため、実験をしてみることにした。その結果、児童からは「隠れる」「避難する」などの考えが出され、「さえぎること」「離れる」ことが有効で、加えて「光にあたる時間を短くする」ことが大切なことを学ばせ、さらにDVDの視聴により再確認させた。

 

 

 次に、「体の中を守る」ためにどうしたらよいか問うと、「うがいをする」「マスクをする」などの考えが示された後、福島県では、食品の放射線を測っていることやお米は全袋検査しているから心配いらないが、制限された水や食品を食べないことが重要であることを説明。

 授業のまとめとして、副読本を使用し、「放射線から身を守る方法」と「放射性物質から身を守る方法」を確認させ、それぞれに有効な方法を3つずつ書き出させることで理解を深めるようにした。そして、今日の授業を通して、「身を守るために自分はどういうことをやろうと思ったか」書かせると、児童からは「手洗いやマスクで除菌する」「放射線が出るものには近づかないようにする」などの発言を得て、終了させた。

 

 

 

事後研究会

 授業終了後に開かれた事後研究会には、見学に訪れた多くの先生方が参加された。授業者を交えての質疑応答では、放射線を「バイキン」と表現していた児童がいたことについて、「そのままにせず、生活に役立っている側面も教えたほうが良い」。また、「病院などにある放射線のマークがどういうマークなのか知りたい、といった疑問には応えてあげたい」といった意見も出されるなど活発な研究会となった。

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