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教員向け研修会

放射線教育授業実践事例3:福島県郡山市立明健中学校

放射線教育授業実践事例:福島県郡山市立明健中学校

平成23年度明健中学校区小中一体・連携による都市型小中一貫教育授業研究会
生徒の高い関心に応え、1年生・理科で「放射線」授業実践

「地震・津波」の発展的学習として

 郡山市立明健中学校(学校長:伊藤 幸夫氏)ではこのほど、1年生理科で放射線に関する授業を行った。「地震の伝わり方と地球内部の働き」の単元(全7時間)のうち2時間を使い、放射線の基本的な性質や人体への影響を、実験をまじえて学んだ。

 指導した佐々木清教諭によると、夏休みの理科の課題(自由研究レポート)で、6割前後の生徒が放射線について調べてきた。「興味関心に応えるには1年生から取り上げる必要がある」と感じ、単元の発展的学習として位置づけた。
 授業の導入では、東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故の経過を、映像や写真を見ながら振り返った。また、佐々木教諭が測定した校庭の放射線量を示し、身近な放射線の分布の現状を確認。その際に「なぜ、校庭における放射線の量に違いがあるのか?」と生徒に問いかけ、生徒個人の考察を書き出した後、ペアで意見交換を行い、さらに班内で考察をまとめて発表した。

データを分析し判断する力を育てる

 続いて、夏休みの課題で放射線について調べた生徒のうち3名が発表。

発表者の女子生徒は、主な放射線の種類や特徴、放射能と放射線の違いなど基礎的な事項を押さえた。

 南相馬市やいわき市、郡山市の放射線量の変化をグラフにまとめた女子生徒は、「私たちは長期間にわたって放射線と向き合っていく必要がある」と述べた。

 同校の自然科学部に所属する男子生徒は、部の先輩とともに測定した、郡山市内の河川で行った放射線量の計測データを発表した。
それぞれの発表を通じて佐々木教諭は各発表のデータから読み取れること、予測できることを生徒各自が考察する作業を行った。

 後半は霧箱をもちいて放射線を観察する実験を行った。最初は放射線の分布の理由を考察した同校の校庭の土を用いた。校庭の土からは放射線の飛跡を確認できなかった。

続いてランタンのマントルをまきつけたネジを霧箱に入れた生徒たちは、「出てる出てる」と声を上げ、白い飛跡を興味深そうに観察していた。

 授業で発表した自然科学部の男子は、「震災後にインターネットなどで放射線のことを調べてきた。危険もあるけど、身の回りで利用されている分野もあるので、もっと知りたい」と話していた。
 「今回の災害を通じて、データを正しく分析し、自ら判断する力を育てる必要があると感じた」という佐々木教諭。「子どもたちは、苦しんでいるみんなのためにも放射線を学ぼうという意識を持っている。授業や教室掲示、日常の声かけなどで折に触れて情報を提供していきたい」としている。

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