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教員向け研修会

放射線教育授業実践事例10:福島県福島県立福島高等学校 梅苑会館大ホール

放射線教育授業実践事例10:福島県福島県立福島高等学校
梅苑会館大ホール

 8月20日(月)福島県立福島高等学校 梅苑会館大ホールにて、放射線に関する研究に取り組む生徒の研修会及び発表交流会が行われ、福島県内から3校、県外から2校の研究発表があった。

1.「放射能除染の検討」(福島県立福島高等学校)


<福島高等学校グループ発表1>


<高等学校グループ発表2>

 実験Ⅰ「土壌を洗浄して微粒子を分粒し、放射線量を比較」と実験Ⅱ「洗浄時、放射性物質は水に移行するか検証」によって、<放射性物質の付着した25μm以下の粒子を除去することで放射線量が低下した>ことと、<放射性物質は25μm以下の微粒子に固着して離れず、水には移動しない>ことの考察を得て、放射性物質は25μm以下の微粒子に固着しているので、この微粒子を除去することで土壌の除染が可能であると実験結果をまとめた。

2.「NaI検出器におけるγ線のエネルギー測定」(福島県立福島南高等学校)


<福島南高等学校グループ発表1>


<福島南高等学校グループ発表2>

  NaI検出器と解析システムを使用し、「バックグラウンド」、「校庭の砂と阿武隈川の砂」「校庭の桜の木の樹皮と芯」「庭の土」「土付きと水洗いしたジャガモ」などのγ線のエネルギー測定を行った結果が発表された。
 エネルギーの強さによって、核種(セシウム134、セシウム137、カリウム40)を特定することができたが、測定する対象がまわりの空気に触れているかどうかで、値に違いがみられたようだった。

3.「安達高校における、放射線量の分析と、放射性物質の挙動」(福島県立安達高等学校)


<安達高等学校グループ発表1>


<安達高等学校グループ発表2>

 簡易放射線測定器『はかるくん』による校内の空間線量の測定では、校庭の中央に来ると線量が高くなったがその理由がわからず、今後の課題とした。そして、ヒマワリを使った放射性物質の除去についての研究では、一度土に付着したセシウムは取り除くことが難しいということがわかった。また今後の活動として地熱発電をテーマに取り組むことが発表された。

4.「Jindai Radiology」(神奈川大学付属中・高等学校)


<神奈川大学付属中・高等学校グループ発表1>


<神奈川大学付属中・高等学校グループ発表2>

 昨年の活動の中から、高崎量子応用研究所にて行った実験(①大腸菌を用いた放射線による殺菌効果、②リヒテンブルグの作成、③食品照射、④CМC)の報告、CMC(カルキボキシメチルセルローズ)・PCL(ポリカプロラクトン)の実験報告、サボテンを使ったγ線照射とその影響に関する実験報告等を中心に発表が行われた。そして最後に「放射線=悪と決めつけてほしくない」「確かに危険な面もある」「でも利用されているという面も忘れてはいけない」という文言で締めくくった。

5.「被爆地広島における放射能汚染からの浄化メカニズムを探る」(奈良学園中学校・高等学校)


<奈良学園中学校・高等学校グループ発表1>


<奈良学園中学校・高等学校グループ発表2>

 先輩から後輩へと受け継がれ、簡易放射線測定器を活用して10年間活動を継続していて、今回は広島での現地計測と放射性物質の浄化メカニズムの校内実験の様子、被爆地広島への偏見と放射線の誤認識の関係などの調査結果を発表した。また福島市内での現地計測と放射線に関する意識調査も報告された。最後のまとめで、これらの活動を通じて、少しでも放射線に関する風評被害をなくしたいとのコメントがあった。

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